「タイミング」は、とても便利な言葉です。
成功してもタイミング、失敗してもタイミング。
そこにはまるで自分の意志など働いていないかのように何でも「タイミング」で片づける人がいますが、タイミングとは物事を行うのに最も良い瞬間のこと。その瞬間を選んでいるのは自分自身です。
誕生日当日に「おめでとう」を言えば、「覚えていてくれたのね」とそれだけで奥さんは喜びます。
けれど誕生日が過ぎてからの「おめでとう」は、やぶ蛇です。
プレゼントでも用意しないと格好がつきません。
商売にも同じような場面があるでしょう。
仕事でお世話になった人とこの先も良い関係を築いていきたいと考える経営者は、お世話になった翌日にまずお礼の電話をします。
あとから礼状やお礼の品を贈るとしても、この場合の誠意として「最も良い瞬間」は翌日の午前中です。
相手の印象に強く残っているうちに、簡単なひと言でも電話を入れておくことです。
こんな気遣いのある人は自然と信頼されます。
つまり、タイミングというニワトリが金の卵を産むのです。
「最も良い瞬間」を逃した場合、その日のうちにお礼を言えば、ニワトリは銀の卵を産むでしょう。
ただし、金の卵が孵化するより時間や労力、お金が余計にかかるのは仕方ありません。
どんな理由であれ、そのタイミングを逃したのは自分です。
銀の卵に甘んじましょう。
それ以降なら明日でも明後日でもニワトリはただの卵しか産みません。
いくら感謝の気持ちがあっても、判断するのは相手です。
すでに「最も良い瞬間」が過ぎている以上、急いで丁寧な礼状を添えたお礼の品を贈っても、通り一遍のお礼程度に思われてしまったら、ただの卵が金の卵に化けることは望めません。
人の気持ちとはそういうものなのです。
詰めの甘い人間ほどタイミングの良し悪しを言い訳にします。
でも、タイミングは“活かす”ものです。
小さなタイミングを活かしてニワトリに金の卵を産んでもらう。
それが「1+1=3」であり、今の景気を乗り越える1つのヒントとなるはずです。