財務体質改善とは、財務分析を行って自社の課題を把握し、財務体質を強化すること。
・・・と言っても「財務分析」「財務体質」など、今まで聞いたこともない難しい言葉なので殆どの社長さんが分からないと思います。
2つの方法
簡単に言いますと、財務体質改善には2つの方法があります。 1つは、損益計算書に載っている項目です。
まず、売上を上げて売上総利益 (粗利益) を増やすこと。 そして、販売費及び一般管理費の中の固定経費を削減することです。
例えば、役員報酬とか支払家賃など金額が大きな経費の削減が挙げられます。 2つめは、貸借対照表に載っている資産・負債の無駄な脂肪をそぎ落とすことです。
どういうことかと言いますと貸借対照表の左側の「資産の部」の見直しです。
「流動資産の部」の受取手形、売掛金を見てみましょう。
●「受取手形」のなかに「不渡手形」が含まれていませんか?
●「売掛金」のなかに過年度の回収漏れの売掛金はありませんか?
●「仮払金」「短期貸付金」などの科目が決算書に記載されていませんか?
つぎに「固定資産の部」を見てみましょう。
●「有形固定資産」のなかに遊んでいる資産はありませんか?
●「無形固定資産」のなかに使用されていない資産の計上はありませんか?
●「投資等」のなかに無駄な「投資有価証券」や返済を受けられていない「役員長期貸付金」などがありませんか?
これらの項目を1つ1つ見直して処理することで脂肪を減らすことにより、「総資産」が減少し、「自己資本比率」が挙がったりして財務分析数値が良くなります。
会社経営を安定させるために
なぜこのようなことをしなければいけないの?
それは、財務体質を強化することで会社経営を安定的に行うためで有り、銀行融資を受けやすくするためです。
会社経営が安定し、銀行融資がスム-ズに行われるようになると、成長のための積極的な投資を行いやすくなるからです。
財務体質を強化したい、改善したいということを何となく社長さんは考えていると思いますが、実際に財務体質を改善するって何をどのようにすればいいかが分からない社長さんが大半だと思います。 よく分からないからそのままにしてしまっているのではないでしょうか?
資金繰りを常に把握して楽にしたい、銀行融資を有利に進めたい、会社経営を安定させたい、そういうことであれば、財務体質改善の一歩として、売上を上げる方策を立てなければいけません。
売上を上げてと言っても、一長一短に売上は上がりませんし、もし何か手を打ったとしても時間が掛かります。
といって、何もしないで手をこまねいていると、ますます売上が下がりお金が足らなくなってしまいます。
売上を上げる方策が見つかったとしても投資をするお金が必要です。
資金繰り対策
そこで資金繰り対策ということになります。
社長さん、 、
資金繰り対策は充分ですか?
銀行対策は充分ですか?
社長さんの会社の決算書を見て銀行さんはどう判断するでしょうか?
融資が受けられそうだったら、できそうだったら問題ないですが、融資を受けられないようでしたら困ってしまいます。
貸借対照表の脂肪が多く、これではチョットと思われると融資をして貰えません。
この時のためにも財務体質改善は必要なのです。
どうすればいいのか? 債務償還年数について
では、貸借対照表の脂肪を取り除きましょうと言っても、肥満体質の改善、どうすればいいの?? となります。
銀行さんが融資をする上で見ている指標があります。
「※債務償還年数」という指標です。
※「借入金の残高が、年間手取り額の何倍残っているか」を計算するものです。
債務償還年数とは、融資先が借入過多に陥っていないかを判断するための指標です。
借入が大きい(債務償還年数が長い)ほど、新たな融資は出しにくくなります。
算式は、
債務償還年数 = 借入金の残高 ÷(税引後利益+減価償却費)
借入金の残高は、貸借対照表の右側の負債の部に「短期借入金」、「長期借入金」の合計です。
税引後利益は、損益計算書の下の方に記載してあります。
減価償却費は、損益計算書の「販売費及び一般管理費」に記載してあります。
つまり、いまの「年間手取り額」で返済をするとしたら、あと何年で借入金が返済できるかを債務償還年数で表しているのです。
銀行は、「債務償還年数は10年未満が望ましい」と考えています。
数字を入れて考えてみる
では数字を入れて考えてみましょう。 借入金の残高 5,000万円、税引後利益 400万円、減価償却費 100万円ならば、債務償還年数は
借入金の残高 税引後利益 減価償却費 5,000万円 ÷ (400万円 + 100万円)= 10年
になります。
もし、社長さんが税金を払うのが嫌だからと言って100万円の節税対策を取ったらどうなるでしょう?
単純に税引後の利益は300万円になります。
借入金の残高 税引後利益 減価償却費 5,000万円 ÷ (300万円 + 100万円)= 12.5年
になってしまいます。
債務償還年数の目安 債務償還年数 > 10年
こうなってしまうと融資を受けられなくなる可能性が高くなってしまいます。
利益を増やすしかない
これで、社長さんはお分かりですよね。
「債務償還年数」の指標を良くするにはどうしたらいいのか?
利益を増やすしかないという事です。
社長さんが頑張って売上総利益を稼ぎ出して税引後利益が500万円となったらどうなるでしょう?
借入金の残高 税引後利益 減価償却費 5,000万円 ÷ (500万円 + 100万円)= 8.3年
になります。
債務償還年数の目安 債務償還年数< 10年
このように「税引後利益」を良くすることで、債務償還年数が短くなり融資を受けることが楽になります。
ということは「利益」を増やすことです。
「利益」が増えれば、債務償還年数は短くなります。
という事は、節税対策も行きすぎると融資を受けることが困難になると言うこ とが分かって頂けると思います。
財務がわかる人が近くにいるか?
財務体質改善をしたい社長さんは、自社の財務がわかる人と一緒に課題と対策 を具体的に把握する必要があります。
財務体質改善を社長さんと一緒に進められる方がいない場合は、是非、税理士である私池田と始めてみませんか?