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営業利益はどんな利益?

営業利益はどんな利益?

今回は、2の営業利益についてお話しを進めていきます。

1. 売上総利益 (粗利益)
2. 営業利益
3. 経常利益
4. 税引前当期純利益
5. 当期純利益

営業利益とはどんな利益を指すかと言いますと、会社の事業目的本来の営業活動によって儲けた利益であり、会社の本業による利益獲得能力を示しています。
つまり会社の持つ営業力によって稼いだ利益を言います。
会社の本業とは、たとえば、自動車会社なら自動車、製薬会社なら薬品の売上、というように会社の中心となる事業によって、稼いだ利益のことを言います。

営業利益の計算は、売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いて計算される利益のことです。

計算式は、
営業利益 = 売上総利益 -販売費および一般管理費

売上総利益については前回お話ししましたので、そちらをご覧頂くとして、「販売費及び一般管理費」とはなんぞやについてお話しします。

販売費および一般管理費は、従業員の給与や社会保険料などの人件費、広告宣伝費、旅費交通費、通信費、接待交際費、地代家賃、その他会社によってそれぞれの費用項目があり分かれます。

つまり、会社が自社の商品やサービスを売り込むために欠かせないさまざまな費用のことを言います。
このことから、営業利益は、会社の営業全体から稼ぐ利益とも言えます。

この販売費および一般管理費は、会社を運営するために必要な費用であり、売上高の増減に関係なく固定的にかかる費用を言います。

今までのお話しを数字を上げてお話ししますと
例えば、甲社の販売費及び一般管理費が200円だったとしますと、次のような計算になります。

損益計算書

この営業利益100円が、会社が本業で稼いだ利益です

売上総利益 (粗利益)は、自社で生産した製品や他社から購入した商品を売ることによって得た利益を粗利益として計算しました。

つまり粗利益は、会社の商品力によって稼いだ利益ですから、この粗利益が多ければ、収益性の高い魅力ある商品を多く売っていることを意味します。
逆に粗利益が少なければ、収益性の低い魅力の乏しい商品を売っていることになります。

営業利益は、会社の商品や製品を売るために必要な費用、つまり人件費や広告宣伝費、旅費交通費などの販売費及び一般管理費を差し引いた後の利益なので、会社の本業での実際の儲けが計算されます。

つまりこの営業利益は、会社の本来の営業活動から稼ぎ出した利益ですから、この利益が多ければ多いほど、本業での利益を生み出す力が高いということになります。

従って、営業利益は、この会社が営業努力をしているか、放漫経営になっていないかどうかを判断する上で重要な利益と言えます。

ここまで、営業利益についてお話しをしてきましたが、今度は、営業利益率についてお話しをしていきます。

営業利益率とは何かと言いますと、営業利益は金額でその数字を見てきましたが、営業利益率は、次の計算式で示すように 率(%) で会社の数字を見ていきます。

営業利益率(%) = 営業利益 / 売上高 × 100

営業利益率は会社の本業における儲かり具合を表します。
営業利益率が高ければ、本業で儲ける力があり、かつ、営業力が強いと言えます。

先程お話ししたように営業利益は、会社の持つ営業力によって稼いだ利益です。
つまり、営業利益率とは、売上高に占める会社の持つ営業力によって稼いだ利益を示していると言うことができます。
この営業利益率が高ければ、本業の業績が良いことを意味し、逆に低ければ、本業の業績が悪いことを意味します。

営業利益と営業利益率の5つの判断材料
①売上原価が高い → 売上総利益が低い = 営業利益率の低下
 例示として甲社の損益計算書を見てみましょう!!
 甲社の売上原価率が80% (高い)の時と70% (低い)の時を比較してみます。

営業利益と営業利益率の5つの判断材料

このように売上原価が高いと粗利益が少なくなり販管費及び一般管理費が同額の時でも営業利益率は低くなります。

売上原価を下げ、粗利益を如何に多く稼ぎ出さなければいけないかがお分かり頂けると思います。

しかし、一般の書物などを読んでみますと、常に粗利益を稼ぐことだけが取り上げられていますが、中小企業の場合、会社の競争力はそんなに強くはありません。
ですから、他社との競争力の上からも粗利益はそんなに簡単には稼げないということです。
従って、粗利益を増やす上で売上を上げることが如何に重要なことになるかお分かり頂けると思います。

②費用が多い人件費、広告宣伝費にお金をかけすぎ営業利益率の低下
③粗利益率が高い営業利益率が低い販管費及び一般管理費(人件費や広告宣伝費、旅費交通費等)が掛かりすぎ
④粗利益率がそれほど高くない営業利益率が高い営業努力や経費削減を積極的に行っている

 例示として甲社の損益計算書を見てみましょう!!
 売上総利益は450と同額ですが、販売費一般管理費を200と費用節減した時
と350と費用を掛けすぎた時を比較してみます。

損益計算書1 損益計算書2

このように費用を掛けすぎると営業利益が少なくなります。
利益が少なくなると言うことは、運転資金の確保にも影響してきますし、借入金の利息の支払いに苦労することになります。
費用リストラに心がける必要があります。
とは言っても、必要以上に費用の削減をしますと、社員のモチベ-ションの低下を招きかねません。
モチベ-ションの低下は、営業力の低下になり、他社との競争力からも負けてしまいます。
費用リストラには十分な心がけが必要です。
将来費用の社員教育費は減額しないで掛ければ掛けたほうがベストだと考えます。

⑤営業利益、営業利益率が過去3カ年間下がり続けている →本業の営業力低下

営業利益の増加の要因には、 ①自社努力によって達成されたもの ②外的要因で達成されたものの2つがあります。
① 自社努力によって達成されたものには、
・自社における高付加価値商品の開発
・社内における徹底したコスト削減
があげられます。

② 外的要因で達成されたものには、
・一時的なブーム
・ライバルが少ない状況
があげられます。

①の自社努力の場合の営業利益の増加は高く評価できますが、②の外的要因の
場合は、ブームが過ぎ去ったことによる営業利益の低下やライバル参入による営業利益の低下が問題となります。

さてここで余談ですが、
売上の増加がこれ以上望めそうもない、粗利益もこれ以上稼ぐことができない、そんなときどうやって営業利益を増加させればいいか、もうお分かりの方もおられると思いますが、販売費及び一般管理費の中の無駄な経費を削るしかないということですね。

販売費及び一般管理費の無駄な経費削減は社長さん1人ではできません。
そこで社長さん、各取締役、経理が集まります。
直前期1年間の総勘定元帳の販売費及び一般管理費を人数分コピ-して全員で各勘定科目の費用の中身の点検をします。

点検していくと
① 会社運営に必要な費用
② 知らないうちに惰性で支払っていた費用
③ 社長さんの見栄で支払っていた経費用などが洗い出されてきます。
②、③の費用はいらないですね。
すぐにでも削減しましょう!!

もう20年も前のある会社の話です。
私の知人が勤めていた会社の話なんですが、バブルが弾け会社は社員の給料を10%カット、夏・冬の賞与をカットしたそうです。
そんなとき社内の清掃や窓硝子掃除のことで、断ったら可愛そうだから続けようと言った取締役がいたそうです。
その知人の方が言うには、社内掃除や窓硝子の清掃は自社でできるのに、変なとこにこだわってるのよね。
年間支払う金額を考えると断ればいいのにと言っていました。

このブログを読まれている社長さんの会社はどうですか?
世の中の経済状況が良かろうと悪かろうと、無駄な経費は削減したいものですね。

よくある話ですが、会社内容がよい会社ほど無駄な費用や社長さんのプライベ-トな費用がありません。
資金繰りが苦しい会社ほど、社長さんのプライベ-トな費用が多いように見受けられます。

営業利益を増やし資金繰りを楽にしたいと思われている社長さんは、是非費用の見直しをしてみて下さい。