各方面でホスピタリティが盛んに叫ばれるようになりました。
商売で大事なのは「おもてなしの心」というわけです。
現代はサービス社会。
どんな場面でも「お金を払うから代わりにやってね」で商売が成り立っています。
とても分かりやすい構図ではありますが、いわゆる“顧客のニーズ”を満たせるかどうかが評価の分かれ目であれば、お金とサービスがイコールのレベルではちょっとありがたみに欠けます。
頭に「お金 < サービス」の図式が浮かんだとき、人は初めて「ありがたい」と思い、そこにおもてなしの心を感じるのです。
人は、依怙贔屓(えこひいき)に敏感で、不公平感を察知すると途端に文句を言い始めます。
しかし、特に大事なお客様を特別に引き立てるのも商売です。
もっと言えば、「自分は特別扱いされている」と相手に思わせるのも商売の知恵でしょう。
たった1泊のルームチャージが、サラリーマンの小遣いをはるかに上回るリッツカールトンに“あえて”泊まるのは、リッツの「感動するほどのホスピタリティ」を求めてのこと。
「年会費は高いし、たいして使わないけど」と言いながらもアメックスを解約しない理由は、24時間対応のコンシェルジュ(チケットなどを手配してくれる)サービスが“使えるから”だとよく聞きます。
今どき、お客様を愛する「顧客主義」は当たり前。
リッツやアメックスが実践しているのは、お客様との相思相愛を目指す「超・顧客主義」でしょう。
値引きや付け届けのような、表面的で一過性のサービスを提供するのがおもてなしではありません。
お客様と相思相愛になって愛しあうには「本当に助かるよ」と感謝してもらう
ことですね。
お客様の顔を一人ずつ思い浮かべ、相手の役に立つことを本気で考えてみましょう。
景気が低迷しているこんなときだからこそ、おもてなしの心をベースとした「超・顧客主義」は、必ず商売のヒントになり得るだろうと思います。
あなたは今、瞼の奥に浮かんだお客様と「愛しあっていますか?」。