「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である」。
自然科学者ダーウィンが『種の起源』で書いたとされるこの一節は、経営者セミナーなどでよく引用される“ビジネス指南”です。
生き残るためには変化が必要であり、ビジネスにおいても同様である!と。
言葉面だけを追えば、非常に的を射た商売のヒントに思えますが、一体何をどう変化させれば良いのか。
そこを理解できないのが「頑張る社長」です。
頑張る社長の口癖は、もちろん「頑張ります」。
会社が順調でも瀬戸際でも、とにかく頑張ります。
ところが残念なことに、頑張れば何とかなるという発想は、個人の領域でのお話です。
商売は自己満足では成立しません。
商売を取り巻く環境が激変しているにもかかわらず今までのやり方に固執したり、極端なコスト削減を社員に強いて、「会社のために一緒に頑張ろう」と社員のモチベーションの向上に躍起になりながら、最後は「私は社長として頑張っている」と豪語します。
頑張る社長にとっての「変化」とは、“自分以外”が変わることなのでしょう。しかしそろそろ気づくときです。
もしコスト削減を実施するなら、「極端」ではなく「徹底」する。
無駄を的確に見極め、必要なものだけで最大限の効果を追求することを「変化」と言います。
生き残るために変化が必要なら、まず変えるべきは社長の意識なのです。
経済より経営ありき。
意思決定こそ社長の最大の責務だと理解すれば、頑張るのではなく真剣にならざるを得ません。
真剣とは本物の刀も意味します。
本物の刀を喉元に突きつけられて決断を迫られているまさにその時、「頑張れば何とかなる」と思うでしょうか。
白亜紀まで繁栄していた恐竜をはじめとする生物種の70%が、約6500万年前に突如として絶滅しました。
地球に衝突した巨大隕石による劇的な気候変動が原因だとする仮説の真偽はともかく、そこで生き残った生物種だけが進化を遂げました。
だからまずは絶対に生き残ることです。
「頑張る社長」から「真剣な経営者」へと意識変化を今すぐに遂げてください。突如として絶滅する危機に遭わないためにも。