会社設立に関する情報
事業を始めようとすると、個人事業がいいのか会社組織にした方がいいか迷うところです。
個人事業による開業が向いているのは、とりあえず事業を始めてみたい、という場合に向いているでしょう。
個人事業の場合、事業主がその気になればいつでも事業を止めることができます。こうした点からも法人の方が信頼性が高いと見られる要因となっています。
なんといっても「社会的信用」ですが、個人事業よりも法人の方が社会的信用が高いと言えます。
社会的信用による資金調達や人事採用、取引先の獲得など、事業展開・拡大に際しては法人の方が有利に運ぶことができます。
その他法人は、法人と個人での所得分散や生命保険など他の節税効果を使えば、より大きな節税効果が得ることができます。
資金調達の面からは会社の方が、厳密な経理処理が求められる点で信用度が高いと言えます。
そこで、事業形態ごとにそれぞれのメリット、デメリットを上げて考えてみたいと思います。
個人形態 | 法人形態 | |
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開業時の手続と費用 | ●個人の場合は、開業設立費用等 一切不要です。 ●開業届を税務署に提出するだけ | 会社設立は株式会社の設立で、登録免許税等を含み約25万円程度、合同会社で11万円程度の費用が掛ります。 |
資本金 | 定めはありません。 | 平成18年5月施行の新会社法で、資本金は1円で設立できるようになりました。 |
信用 | 法人に比べて社会的信用が低いため、取引先の開拓、従業員の確保といった点など、不利な場合があります。 | 一般的には会社の方が社会的信用があり、事業の拡大、取引先の開拓従業員の確保といった点では、有利といえます。 |
資金の融通 | 個人事業の場合、事業資金と生活資金のキャッチボールができます。 | 会社とオーナー社長は別人格のため一定の手続を踏んだ契約貸借となります。 |
責任 | 個人が獲得した利得は、すべて個人の所有となりますが、事業に失敗した場合は、個人の全財産をもって弁済しなければなりません。 無限責任となります。大きな取引ではリスクが大きいと言えます。 | 株式会社の場合は、出資持ち分を限度に責任を負えばすみます。 オーナー社長には、道義的責任があり、金融取引に際し連帯保証を求められます。 |
税金 | 個人事業の場合、青色申告にすれば所得が少ないうちは、個人のほうが有利な場合があります。 | 所得が大きくなった場合、節税対策など会社組織のほうが有利になります。 |
社会保険等 | 個人事業主は、政府管掌の健康保険と厚生年金に加入することはできません。 国民健康保険と国民年金加入となります。 | 社会保険が強制加入会社の役員の場合、政府管掌の健康保険と厚生年金に加入できます。一定の場合、役員も労災保険に加入できます。 |
損失の繰越 | 青色申告の損失の繰越は、3年です。 | 青色申告の欠損金の繰越は、9年です。 |
経理 | ●自分で確定申告書が作成できる ●青色申告で複式簿記を採用すれば65万円の控除ができる | 法人の決算書・申告書作成(税理士が必要) |
費用 | ●個人事業者は、給与はありません ●給与がないため給与所得控除が使え無い ●退職金が支給できない ●経営者とその家族も社会保険に加入できない | ●役員報酬の支払ができる ●自分の給与に給与所得控除が使える ●退職金を支給できる(適正額までは、会社の損金にできる) ●経営者とその家族も社会保険に加入できる |
給与 | ●個人事業主には給与の支払いができない ●税務署に届け出て同居親族に対して青色事業専従者給与の支払ができる | ●役員報酬の支払いができる ●家族に給与の支払いができる |
接待交際費 | 交際費の額に上限がなく、業務との関連性があれば、取引先との飲食費など全額を必要経費にできる | 資本金1億円以下の会社については、交際費800万円まで全額を経費処理できる |
生命保険 | 確定申告で最高12万円まで所得控除できる | ●大きな金額が経費処理ができる ●役員の退職金の原資とすることができる |
個人事業主様が、法人成りを考えている場合は、個人から法人へ契約の引き継ぎや許認可の取り直し、名刺の刷り直し、封筒の印刷、銀行等へ法人への移行手続きなどさまざまな事務手続が発生します。
個人事業から法人へ移行するという場合、個人事業で消費税の免税事業者を2年間、法人で消費税の免税事業者を2年間受けると4年間消費税の納税が免れるということを考慮される方もおられるようです。
法人成りへの事務手続き等の煩雑さと費用を考えると法人設立を何時した方が事業として良いかシッカリと考えて選択していただきたいと思います。