金融機関は、顧客から預かったお金から、資金が必要な会社にお金を貸して生きている会社です。
いわゆる商取引先なのです。
金融機関がお金を貸した時に一番の関心事は、貸したお金が回収できるかどうかが一番の心配の種なのです。
ですから、会社が融資を申し込んだ時、金融機関が最初にお尋ねすることは、
①何時必要ですか?
②幾ら必要なのですか?
③何に使うのですか?
④どのようにして返して貰えるのですか?
⑤融資期間はいつまでですか?
などしつこく聞かれます。
また、これらのことを申込用紙に書かなければいけません。
とくに、何に使うのかがはっきりしないと融資が出ないこともあります。
皆さん考えて下さい。
皆さんの友人から融資を頼まれたら上記5つのことが気になりますよね。
金融機関も同じです。
金融機関は、毎期決算が終わると税務申告書・決算書・科目明細書を下さいと言われます。
これは、会社が最初に融資を申し込んだ時だけでなく、毎期毎期決算期ごとにこの融資先は返済するだけのキャッシュがあるのかどうかを計算しています。
当然ですが、貸したお金が返ってこないと困るからです。
では、金融機関さんがどこをどのように見てお金を貸す判断をしているかと言いますと、次のような見方をしているようです。
個人保証は、8番目にランクしていますね。
金融機関さんにとって、貸したお金を返して貰うことが一番の関心事だと言うことが分かります。
個人保証は、金融機関さんにとって最終的な保証なのです。
だれも、社長さんの土地や家を取り上げたいと思っているわけではありません。
貸したお金が返ってくれば良いんです。
だけど、返せなかったら約束どおり家屋敷を頂きます。
と言うことです。
最近は、金融庁が出している「金融検査マニュアル」というもので、会社ごとに格付けをして融資ができるか否かを決めています。
しかし、今後は金融機関ごとに貸し出し方法を決めなさいよ。
と言う風になりますから、決算書内容をシッカリとする必要があります。
金融機関さんが決算書の中で借入金を返済ができるかどうか、返済原資つまりキャッシュがあるかどうかを見極めるために、金融機関さんは一体どのように計算しているかと言いますと、会社から預かってきた決算書から次のような計算をします。
キャッシュフロ-=経常利益+減価償却費
この金額の合計が借入金返済の原資と考えているのです。
例えば、
①経常利益 4,000千円
②減価償却費 2,000千円
③借入金返済額 5,000千円
だったとします。
計算してみますと
経常利益 | 減価償却費 | 借入金返済額 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
4,000千円 | + | 2,000千円 | = | 6,000千円 | > | 5,000千円 |
銀行さん側から見ると貸付金の回収ができると考えます。
では減価償却費2,000千円が無かったらどうでしょう!!
経常利益 | 借入金返済額 | |
---|---|---|
4,000千円 | < | 5,000千円 |
銀行さん側から見ると貸付金の回収ができないと考えます。
ですから、担保の追加などが要求されますね。
信用保証協会保証融資でしたら何の問題もありませんね。
信用金庫さんから借りる場合は、ほとんどが信用保証協会保証を通しています。
最近では、メガバンクさんも信用保証協会保証をどんどん付けています。
メガバンクさんからはプロパ-で融資を受けたいものです。
信用金庫さんからプロパ-で借りている会社がありましたら、相当信用がある会社さんですね。
話が変わりますが、金融機関さんが融資している融資総額の多寡をどのように考えているかと言いますと、金融機関さんは「月商の何カ月分の借入がある。」という見方をします。
例えば、金融機関さんが、甲社に次のような融資をしていたとします。
この融資金額についてどう考えているのでしょうか? と言う問題です。
①甲社の1年間の売上高 300,000千円
②月 商 25,000千円
③借入総額 75,000千円
金融機関さんが、どう計算しているかと言いますと、
売上高 | 月商 | |||
---|---|---|---|---|
3億円 | ÷ | 12ヶ月 | = | 25,000千円 |
月商 | 月商3ヶ月分の売上高 | 借入総額 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
25,000千円 | × | 3ヶ月 | = | 75,000千円 | ≦ | 75,000千円 |
金融機関さんは、一般的に月商の3ヶ月分以内の借入が妥当な借入総額と考えています。
ですから上記の場合、月商の3ヶ月分の売上高と借入総額が同額ですので返済は滞りなくして返して貰えると考えます。
そのため売上が大きくなれば、その分借入が増えても、「月商の何カ月分」が大きくならないのであれば、金融機関さんの感覚としては、借入額が増えたことにはならないのです。
例えば、この甲社の売上が3億円から6億円となった場合、借入総額が75,000千円から150,000千円に増えても、月商の3カ月分というのは変わりません。
どういうことかと言いますと、
売上高 | 月商 | |||
---|---|---|---|---|
6億円 | ÷ | 12ヶ月 | = | 50,000千円 |
月商 | 月商3ヶ月分の売上高 | 借入総額 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
50,000千円 | × | 3ヶ月 | = | 150,000千円 | ≦ | 150,000千円 |
このように、金融機関さんが会社への融資総額を多くできる一つ目の条件は、売上が大きくなることです。
では、借入金がオ-バ-している会社ではどうでしょうか?
例えば、
①乙社の売上高 300,000千円
②借入総額 150,000万円
だったとしますと、どういう計算になるかと言いますと、
売上高 | 月商 | |||
---|---|---|---|---|
3億円 | ÷ | 12ヶ月 | = | 25,000千円 |
月商 | 月商3ヶ月分の売上高 | 借入総額 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
25,000千円 | × | 3ヶ月 | = | 75,000千円 | < | 150,000千円 |
月商3ヶ月分の売上高が借入総額の半分です。
借入オ-バ-です。
借入金元金と支払利息の支払いが困難な状況です。
会社に赤信号が点滅している状態ですね。
このような会社の場合、会社継続していきたいのであれば、すぐにでも「経営改善計画書」を作成して、金融機関さんと今後の返済条件等についてテ-ブルについて貰う必要があります。
(弊事務所では、このような会社様の経営改善計画書などアドバイスを行っていますのでお問合せ下さい。)