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今期 赤字になりそうと思ったら

今期 赤字になりそうと思ったら

前払費用と貯蔵品の会計処理で利益を計上しようというお話しです。

1.前払費用

経費の中には時の経過とともに費用化されるものがあります。
火災保険の損害保険料や信用保証協会の信用保証料があたります。

例えば、3月決算法人(4月1日~3月31日)が、3月に12ヶ月分の損害保険料120,000円を支払ったとします。
正しい会計処理方法では、支払った金額の120,000円のうち、3月分の10,000円だけが保険料として費用処理ができて、残り110,000円は前払費用として資産に計上しなければいけません。

が、法人税法の世界では支払った日から1年以内の費用は支払った事業年度で、その全額120,000円を一時の費用として処理しても良いですよという取り扱いがあるため、通常の会計処理では12ヶ月分全額(120,000円)を、その事業年度の費用として処理するのが一般的です。

しかし、この処理では経費が110,000円増えることになるため、その分 利益が少なくなります。
そこで、3月分の1ヶ月分だけを費用 (10,000円) とし、残り11ヶ月分は短期の前払費用(110,000円) として貸借対照表の資産の部に計上します。
この処理をすることによって、利益が増えることになります。

この処理ができる項目としては、家賃・借入金の利子・手形を割引いた場合の手形売却損(手形割引料)・生命保険料・その他賃借料などが上げられます。

2.消耗品費

消耗品費として費用処理される費目として包装用紙、紙袋、事務用消耗品、作業用消耗品、広告宣伝用印刷物等の費用が上げられます。
これらの費目のものは、その購入が各事業年度ごとにおおむね一定量を取得し、かつ、経常的に消費されるため、購入時に一時の費用として処理する方法が一般的です。

しかし、赤字決算が見込まれる場合、決算期末において未使用のものは、貯蔵品として貸借対照表の資産の部に計上することによって、利益を増やすことができます。

*勘定科目の区別
消耗品費は、経費の科目で使用します。
貯蔵品は、資産に計上した時に使用します。

どうでしょう!!
考え方1つ、会計処理方法を変えるだけで、費用を多くしたり少なくしたりできます。
利益操作につながりますが、法人税基本通達というところに、こういう処理をしても良いですよと書いてあります。
気を付けなければいけないのが「継続性の原則」ということもありますから毎期・毎期都合良くできない場合もあります。
法人税基本通達で良いと言っているものを賢く使ってください。

地代家賃の処理では、処理方法など取り扱いが難しい場合がありますので顧問税理士と相談の上処理して下さい。