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決算書には何が書かれている?

決算書には何が書かれている?

社長さんによっては、決算書は税務申告のためだけに作成するものだと思われている方がいます。

果たしてそうなのでしょうか?

金融機関からお金を借りる時には必ずといっていいほど3期分の決算書の提出が要求されます。

また、株主総会でも株主に対して決算書のある一定部分の開示が必要となります。

また、新たな取引先から決算書を要求される場合もあります。

そんなとき、社長さんから異口同音に言われることは、この決算内容で大丈夫だよね・・・です。

決算書は、税務署だけを向いている訳ではありません。

それぞれの取引に応じて顔の違った決算書を作成するものでもありません。

ですから、決算書を作成すると言うことは会社にとって1年に一度の大仕事なのです。

●うちの会社の財務内容はどういった状態なのだろう!!
●利益は出ているのだが心配ない状況なのだろうか?
●前期、今期と赤字続きなのだが、何処まで会社が持つのだろうか?
●この決算内容で借入ができるだろうか?
●売上増を図るにはどうすればいいのだろう!!!

翌期以降の予算を組むために前々期、前期そして当期の結果を踏まえて今後の対策を考えるためにも決算書が必要です。

自分の会社の財務内容や経営成績が決算書を見て解るようになりたいですよね。
自分の会社がどういう状況なのか、健康なのか、危険な状態ではないのか、ある一定の期間どのように活動し、どのように売上を上げ、その売上を上げるためにどれだけ費用がかかり、どれだけ儲けたのかを決算書から見ていくのです。

決算書には、
(1) 決算時点の資産内容と負債の内容が載っている貸借対照表
(2) 1事業年度 (例えば、4月1日から翌年3月31日までの1年間を言います。)の売上と、その売上を上げるために直接掛かった仕入代金などの売上原価、そして、商品や製品を売るために必要な経費の累計が書いてある損益計算書
(3) 株主資本等変動計算書
(4) 製造原価報告書 (製造業・建設業等が作成します。)
(5) キャッシュフロー計算書があります。
キャッシュフロー計算書は、大会社では決算書の仲間入りをしましたが、中小会社は作成の義務がないため、任意で作成している会社もあります。
弊事務所では、当然ながら作成して社長様にご説明しています。

1. 一定時点の財務内容が書かれている貸借対照表

決算書の中で最も重要だと言われている貸借対照表は、取引先から売掛金の振込み、受取手形、荷物を運ぶための車の購入代金、社内で使う器具備品の購入代金、取引先から商品仕入に対する買掛金、運転資金や設備資金の借入金、株主から払い込まれた資本金など会社の財産や債務の状態が書かれてあり資産、負債、純資産の3つから構成されています。
資産は、流動資産、固定資産、繰延資産に区分されています。
負債は、流動負債、固定負債に区分され「他人資本」と呼ばれています。
純資産は、株主から払い込まれた資本とその資本を使って儲けた利益からなり、「自己資本」と呼ばれています。

金融機関は、お金を貸す時にはまず貸借対照表を見ています。

2. 一定期間の営業成績が書かれている損益計算書

一事業年度の営業活動の結果得られた利益がどのように獲得されたのか、経 営者の経営成績を明らかにするのが損益計算書です。
経営成績は、一事業年度で得られた収益と、その収益を得るために費やした費用が書かれてあり、損益計算書の最終プロセスである利益が表示されています。

3. 一事業年度のお金の流れが書かれているキャッシュフロー計算書

「儲かっているのに、どうしてお金がないの?」という言葉をよく耳にします。
損益は合っていて利益もその通り儲かっているのだが、現 実にその利益に見合うお金がないことを言います。
これは、入ってきたお金の使い途に原因があるのです。
営業活動で儲けたお金を使わずに持っていればよいのですが、一 時の費用にならない支出例えば、店舗購入、工場新設、車の購入、ゴルフ会員権の購入、株券の購入などなど、固定資産の取得に当てた投資に使われてしまうと、儲けたお金が消えてしまい手元にありません。
また、商品を売っても売掛となり何ヶ月後かに入金され、その間仕入代金の支払いがあり手元の現金が消えてしまうなど、売りと買いのサイト負けをしている場合もあります。
会社の使えるお金が幾ら手元に残っているかが一番大事なことで、そ のお金がどのように獲得されたのか、また、どのように使われたのかが書かれてあるのが、キャッシュフロー計算書です。
以上、決算書を構成する貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロ-計算書について簡単に内容を説明しました。

4. 短期的支払能力をみる流動比率

流動比率は、貸借対照表の流動資産と流動負債の比率を見ます。
流動比率の算式は、
流動比率 = 流動資産÷流動負債
流動比率は短期の支払能力を表すもので、流動資産1,000、流動負債が1,000 だとすると流動比率は 100%となり、やっとの事で1年以内に現金化できる資金から1年以内に支払わなければならない流動負債が支払えると言うことになります。
この流動比率は、1 00%を切ると危険な状態にあります。し たがって、1 20%~150%は確保したいものです。

一般的には、200%あることが理想的とされています。

流動比率を計算する場合、次のことに気をつける必要があります。
①預金の中に支払資金として使えない拘束預金はないか?
(拘束預金とは、借入金の担保に出している定期預金を言います。)
②売上債権の中に回収できない債権、不良債権はないか?
(不良債権とは、貸倒となっている売掛金・受取手形を言います。)
③棚卸資産の中に売れる見込みのない商品、欠陥商品などはないか?
④有価証券の中に時価の下がってしまったものはないか?
⑤仮払金、立替金のなかに回収見込みのない不良債権はないか?
⑥短期貸付金の中に1年以上経過した役員貸付金などはないか?

5. 流動比率より厳しい当座比率

当座比率は、流動比率よりもより厳しく会社の支払能力を見ようとするもので、より酸っぱいことから酸性比率とも呼ばれています。

当座比率の算式は、
当座比率 = 当座資産÷流動負債

当座比率は、100%あれば会社の支払能力は安心と言えます。
なお当座資産は、現金預金、受取手形、売掛金、有価証券、未収入金などすぐに現金となるものです。

流動比率を計算する場合、次のことに気をつける必要があります。
①預金の中に支払資金として使えない拘束預金はないか?
(拘束預金とは、借入金の担保に出している定期預金を言います。)
②売上債権の中に回収できない債権、不良債権はないか?
(不良債権とは、貸倒となっている売掛金・受取手形を言います。)
③有価証券の中に時価の下がってしまったものはないか?

6. 固定資産への投下資本の妥当性を見る固定比率と固定長期適合率

固定資産と言えば、一般的な感覚からすれば有形固定資産と考えがちですが、無形固定資産、投資その他の資産の3つで構成されています。
これら全部ひっくるめて固定比率、固定長期適合率は判断します。
固定資産のそれぞれ主な構成要素は次の通りです。
・有形固定資産は、建物、建物附属設備、機械設備、車輌、工具器具備品など
・無形固定資産は、電話加入権、ソフトウェア、施設利用権など
・投資その他の資産は、投資有価証券、差入保証金、敷金、長期貸付金など

7. 固定比率

固定資産は長期間使用するものですから、返済不要の自己資本から賄うという考えから固定資産の大きさと自己資本の大きさを比較したものが固定比率です。
固定資産が直接現金を作り出すわけではありませんが、固 定資産は減価償却という方法で耐用年数にわたってゆっくりと資金が回収されます。
したがって、固定資産の購入は、返済の必要のある借入金からではなく、返済の必要のない自己資本で賄うのが理想的なのです。
固定比率の算式は、
固定比率 = 固定資産÷自己資本
この固定比率は、100%未満であれば安全だと言うことになります。
固定比率が100%未満と言うことは、自己資本で固定資産を賄っていることを意
味します。

8. 固定長期適合率

固定資産を購入する資金を返済の必要のない自己資本だけでなく、長 期にわたって返済される長期借入金にも当てようとする考え方です。
固定長期適合率の算式は、
固定長期適合率 = 固定資産÷(自己資本+固定負債)
この固定長期適合率は、100%未満であれば安全だと言うことになります。
この固定長期適合率が100%を超えると言うことは、自己資本と長期借入金だけでは足らず短期借入金にまで手を出してしまったと言うことになります。
これは、1年以内に返済しなければならない短期借入金の返済原資で、悩まなくてはならないことを意味します。
資金計画、ご利用は計画的にです。

9. 自己資本比率

総資本に占める自己資本 (純資産) の割合を言います。
貸借対照表の右側を見ると負債と純資産から構成されています。
負債は、流動負債と固定負債から構成されていて、いずれ返済が必要なもので他人資本と呼ばれています。
資本は、株主から払い込まれた資本金と資本剰余金、会社が創業した時から現在までに儲けた利益の蓄積である利益剰余金からなり自己資本 (純資産) と呼びます。
他人資本と自己資本 (純資産) を合計したものを総資本と言います。
総資本に占める自己資本(純資産)の割合を自己資本比率と言います。
自己資本比率の算式は、
自己資本比率 = 自己資本 (純資産) ÷総資本
自己資本比率は、50%以上が望ましいとされていますが、少なくとも30%は確
保したいものです。
自己資本比率が低いと言うことは、他 人資本である借入金に対する依存度が高いと言うことですから金利負担が高くなります。一生懸命営業利益を出しても支払利息が多額になりますと経常利益が圧迫され、次の会社の発展と成長のための資金が不足することになります。

10. 会社の利益獲得能力を示す売上高経常利益率

経常利益は、会社の経常的な利益獲得能力を示しているもので、会社の業績を正しく判断する上で、また経営分析をするうえで最重要な利益とされています。
売上高経常利益率は、会 社の経営活動の中で得た経常的な利益が売上高に対してどれくらいであるかを見る指標で、一般的に5%以上が目安となります。
売上高経常利益率の算式は、
売上高経常利益率 = 経常利益÷売上高
売上高経常利益率を増やすには、売上総利益 (粗利益とも言います。)を増やすことです。
売上総利益は、会社が存在し活動を続けていくために必要な利益を表しています。
商品・製品に転嫁できた付加価値が、どれほどの会社活動を通じて獲得できかを表すもので、その会社の競争力を示すものです。
経常利益を増やすには、売 上総利益と売上総利益から人件費、営 業経費、事 務経費、設備費などを賄われた販売費一般管理費を見直す必要があります。