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Column

「何となく」から始めよう

「何となく」から始めよう

数ある中から1つを選ぶとき、明確な目的や特別なメリットでもない限り、選択の基準は大体「何となく」です。

この会社は何となく良さそう。この社長とは何となくウマが合いそう。

人の興味はそんなところから始まります。

それなのに、いきなり「この会社なら絶対に上手くいきそうだ」と思わせようとするから、力み過ぎて空ぶったり無い袖を振って墓穴を掘ってしまうのです。昨今の党首討論などを見ていても、かつて小泉さんが多くの国民から支持されたのは「この人なら何となくやってくれそう」と思わせたからだというのがよく分かります。

その人が三代目の社長に就任して最初にやったのは、社員の賞与明細に「誕生日占い」のコピーをホチキスで留めることでした。

この先、会社を盛り立ててくれそうな社員をピックアップして彼らの誕生日を調べ、誕生日ごとに性格などを分析した『誕生日大全』という本のページをコピーして明細に付けたのです。

「占い付きのボーナス明細なんて楽しいじゃん」三代目は、単なるシャレだったと言いますが、実は自分のブレーンになりそうな社員の心を掴むためのユーモアを交えた作戦です。

もらった本人たちが「新しい社長は何となく面白い」と好意的な態度を示すようになったと聞けば、三代目のもくろみ通り成功したわけです。

新規のお客さんがあなたの会社と契約するかどうかも、やはり「何となく」だろうと思います。

「何となく」の後にポジティブな言葉が続けば○。ネガティブな言葉なら×。

三代目のようなユーモアや演出が、相手の「何となく」をポジティブなほうに

引き寄せるのでしょう。

ところでその三代目は、友人を社長役にして自社の面接をすることがあるそうです。

面接の席に事務員を装った三代目がお茶を運んでくると、“社長役”が「君も座りたまえ」と三代目を同席させ、三代目は「得体の知れない会社の人」としてあれこれ質問する。

採用が決まった人は後日、誰が本当の社長かを知って「エ-ッ!」となるものの「この会社は何となく楽しい」となるわけです。